こんにちは。企業の研究職として働きつつ、投資11年で1100万円を稼ぎだした浦上といいます。
投資を始めたころの話や、投資以外ではドイツで博士号を取ったときの話など、プロフィールはコチラでまとめてます。
このブログのおすすめ投資法はインデックス投資です。
インデックス投資ではインデックス・ファンド(投資信託)に分散投資します。
ただ、1つ1つのファンドの中身がわからない人も多いはず。
そこで、これまでいろんなインデックスファンドを説明してきました。
よくわからないものに投資してはいけません。
そう思うので、この記事でもインデックスファンドの1つを説明します。
今回紹介するのは全世界株式インデックスファンドです。
オルカンとも呼ばれています。
投資に興味があれば、オルカンを知っている方はかなりいるはずです。
もう持ってる方もいるかもしれません。
ただ、何に投資しているかしっかり理解してない人もいるでしょう。
そういう方はこの記事でオルカンの中身も知ってください。
Contents
1.説明に使うオルカン
オルカンの説明には、
「eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
を使います。
このファンドは、
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
をベンチマークにしています。
このインデックスを知っている人は少ないでしょう。
ただ、自分のお金を投資するなら中身を知っていた方がいいです。
だから、次の章でどんなものか説明します。
このファンドの基本データは、
- 運用期間:3年
- 純資産総額:3902億円
- 信託報酬:年0.1144%
と運用期間以外は申し分ないです。
他にもオルカンのファンドはありますが、現状で最大規模のこのファンドで説明は行います。
運用期間は3年で短いです。
それが理由で浦上はこのファンドは持っていません。
ただ、その議論は記事後半ですることにします。
2.オルカンとは何か?
オルカンはオールカントリーの略です。
これは全世界の株式に投資することを意味します。
ただ、全世界と言っても196の国*のうち、
(*日本が承認している国の数)
- 何カ国に投資しているのか?
- 国別の投資配分はどうなっているか?
- その国はどうやって選んでいるのか?
ということまではわかりませんよね。
それらはベンチマークの
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
の中身を知れば分かります。
なみに、MSCIが何の略かというと、
Morgan Stanley Capital Internationalです。
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルというアメリカの会社のことを意味しています。
この会社が作っている指数だということです。
この中身を説明していきます。
まず何カ国に投資しているかです。
答えは、
- 先進国:23カ国
- 新興国:25カ国
の合計48カ国です。
オールカントリーと言いながら、
実は48カ国なんですね。
英語ではありますがMSCIのサイトで分かります。
ちなみに、今年の
の目論見書を見ると50カ国になっています。
この目論見書のデータは2021年3月のものと古く、アルゼンチンとパキスタンの2カ国分多いです。
ですので、2022年の更新時にはMSCIに従い、
その2カ国は除外されるはずです。
本筋に戻ります。
どの国に投資しているかは、
その目論見書内の図が分かりやすいです。
(2021年7月21日 eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー) 交付目論見書より引用)
全世界とは言っているものの、
半分以上がアメリカ企業になっています。
企業の時価総額順に銘柄を選んでいるからです。
日本の割合は2位。
そこにイギリス、フランス、カナダと続きます。
これも時価総額で選んだ結果になります。
そして、時価総額で選んだ結果が、
- 先進国:87%
- 新興国:13%
という配分です。
時価総額で配分を決めることで、
よりリスクの高い新興国株の配分は
低めになるわけです。
また、国もMSCIの方針に従って選んでいます。
投資対象としてリスクが高いとされれば、
今回のアルゼンチンやパキスタンのように投資対象から外されます。
逆に、MSCIに投資適格と判断されれば、
新たな新興国が追加されることもあります。
こんな形で時価総額による投資配分の調整と
MSCIによる投資国の選別で、
リスクはかなり抑えられていると言えます。
オルカンは元々安定している先進国に加え、
リスクを抑えつつ高成長が期待できる新興国の
両方に投資できるファンドと言えます。
それでも浦上はオルカンを持っていません。
理由は最後の章で書きます。
次にオルカンが実際に株を買っている企業について見ていきます。
3.オルカンで投資する企業
オルカンの投資企業は、
とかなりの部分で重なります。
先進国株式インデックスは
MSCIコクサイ・インデックス(日本除く)
に連動するファンドです。
またMSCIのインデックスですね。
実は、オルカンのインデックスである
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは
先ほどのMSCIコクサイ・インデックスに日本を含めた
MSCI ワールド・インデックス
と
MSCI エマージング・マーケット・インデックス
を足したものです。
MSCI エマージング・マーケット・インデックス
は新興国のインデックスなので、
オルカンは
に日本と新興国を足したものになります。
だから、オルカンで持つ先進国の外国企業については、
とほぼ同じです。
リンク先は違う運用会社のファンドなので、
全く同じ企業を選ぶわけではないですが、
MSCIの作ったインデックスは同じものです。
そのインデックスを参考に選ぶ企業に運用会社の色は出ます。
ただ、同じインデックスを元にしているので、
ほぼ同じになるという意味です。
3-1.組入れ上位10社
先進国についてはその記事を見てもらえれば十分ですが、オルカンで持っている企業も軽く見てみましょう。
組入れ上位10社は以下になります。
(2021年11月30日 eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー) 月報より引用)
10社中9社がアメリカ企業になっています。
時価総額で選ぶとこの順になるということです。
1社だけ台湾の企業がランクインしています。
3-2.オルカンの構造
実はこれらの株、オルカンは直接買ってないです。
以下の図のようにワンクッション置いています。
(2021年7月21日 eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー) 交付目論見書より引用)
一般にファミリーファンド方式と言われます。
インデックスファンドで使われる運用法です。
実はオルカンは図にある3つのマザーファンドに投資しているだけなんです。
つまり、
- 外国株式インデックスマザーファンド
- 新興国株式インデックスマザーファンド
- 日本株式インデックスマザーファンド
に投資し、配分を調整するのがオルカンの仕事ということになります。
先ほどの組入れ上位10社も、
アメリカ企業は外国株式マザーファンド、
台湾企業は新興国株式マザーファンドが
買っているということです。
この3つのマザーファンドの組入れ上位10社も運用報告書に載っています。
次にそれも見てみましょう。
3-2-1.外国株式
オルカンの8割以上がこの外国株式なので、
組入れ上位企業もオルカンとかなりかぶります。
(2021年4月26日 eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー) 交付運用報告書より引用)
このデータは2020年5月のものなので、
時期が違う分、企業も変わっていますが、
これらがオルカンの持つ主な株式ということになります。
やはりアメリカ企業がメインで、
1社だけスイスのネスレが入ってます。
3-2-2.新興国株式
次に新興国です。
新興国企業は大きく伸びる可能性があります。
この点もオルカンの魅力と言えます。
(2021年4月26日 eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー) 交付運用報告書より引用)
注釈にもあるように、比率はマザーファンド中での比率です。
オルカン全体での比率ではありません。
アリババ、テンセントといった中国IT企業が1位と2位です。
ちなみに、この2つは国名がケイマン諸島になってますが、タックスヘイブンを使って節税をするなどが目的です。
3位のTSMCは世界の半導体の半分を製造するという台湾企業。
4位のサムスンはスマホでおなじみの韓国企業ですね。
こんな風に新興国の世界的大企業にも投資しているのが分かります。
3ー2-3.日本株式
最後に日本株式です。
ご覧になれば分かる通り、
有名企業が組入上位に並んでいます。
(2021年4月26日 eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー) 交付運用報告書より引用)
日本企業については特に説明もいらないと思います。
2021年4月時点での時価総額に応じて投資すると、トヨタ、ソフトバンク、ソニー…と言った順になるということです。
ここまで大企業の名前ばかり出てきています。
ただ、これから伸びるであろう企業にも、大企業ほどではないですがこのファンドは投資しています。
全部紹介するのは無理なので、
調べ方だけ教えておこうと思います。
3-3.1社ごと調べるには…
インデックスファンドは保有する企業の株すべてについて公表しています。
以下の書類を見れば分かります。
2021年7月21日 eMaxis Slim 全世界株式(オール・カントリー) 請求目論見書
例えば、自分の勤めている会社とか
気になる会社を保有しているかどうか
調べてみるのもいいでしょう。
ダウンロードすれば検索も可能です。
次にオルカンを買うべきかどうか浦上の考えを書いておきます。
4.オルカンは買うべきか?
オルカンは新興国にも投資します。
実は浦上は新興国投資を今はおすすめしないので、このブログでは取り上げてきませんでした。
新興国株式は中国が主体だからです。
中国経済の将来性に不安を感じるので、
このブログではおすすめしていません。
ただ、ある程度リスクを抑えながらなら大丈夫なのではないかと最近考え始めました。
オルカンでの中国の比率は5%弱。
仮に中国で大暴落が起きたとしても
その影響は5%以内ということです。
(世界への波及を無視すれば)
だったら、新興国の経済成長を投資に取り込めるオルカンの方が、先進国限定で投資するより良いのではないかと思ってきています。
実際、オルカンではないですが日本を除く全世界株への投資を始めています。
まあもともと日本株と外国株のインデックスファンドを別々に持っていたので、
日本株の方は残しておきたかったというのはあります。
外国株だけ切り替えた方が手間が減りますからね。
ただ、オルカンで投資している日本株の銘柄数が少ないというのも気にはなります。
オルカンで投資する日本株は約300銘柄。
浦上が持っているTOPIX連動型ファンドだと1600銘柄以上。
TOPIXの方が広く分散投資していてリスクが低いと言えますね。
オルカンの日本株インデックスは
MSCIジャパン・インデックスなので、
選ぶ銘柄はTOPIXとは違うんです。
ただ、一番気になるのは運用年数が3年と短いことです。
浦上は買うファンドは運用年数5年以上と決めています。
だから、このオルカンは今は買いません。
手数料は魅力ですけどね。
今持っている全世界株ファンド(日本除く)と比べ
半分以下の0.1144%
切り替えてもいいんじゃないかと思います。
それでも、2021年だけで資産が3000億円以上と急激に増えている点。
管理の手間がより少ないはずのeMaxis Slim日本株や新興株のファンドより手数料が安い点。
そのあたりも気になるので、
自分のルール通り5年経つ2023年10月以降にオルカンへの投資は検討します。
インデックス投資を学びたい稼ぎたい方は以下のインデックス投資まとめ記事をご覧ください↓↓↓
インデックス投資を始めている人がさらにお金を増やす方法も記事にしています↓↓↓
インデックス投資がおすすめですが、他の「ほったらかし」投資もやっています↓↓↓
全世界株式インデックスファンドだと長いので
オルカンの方が覚えやすいかもしれません。
全世界の株式に投資すること…
オールカントリーで、オルカンですか。
意味が明白ですね。
48ヶ国もあれば十分。
未開の地は問題外ですね。
韓国や中国が先進国の方でなく新興国扱いなのは若干意外です。
特に中国など最近の状況だと先進国な気がします。
アリババとかは凄いです。
私もさんざんアリババ運営の中国のアリエクスプレスの通販を利用してます。
投資関連のSNSとかではオルカンで通ってますね。
実は調べる前は48カ国より多いかなと思っていました。
というのも新興国より格付けが低いフロンティアと呼ばれる国が20カ国くらいあるので、
全世界というからにはフロンティアも含めてるのかなと思ってたからです。
アルゼンチンとパキスタンは今年フロンティアに移されました。
記事中の円グラフを見てもらえるとわかるんですが、
中国は経済規模では完全に先進国並み(というか3位)です。
ただ、この区分けはMSCIが決めることなので、
経済以外にも判断基準があるのだと思います。
はじめまして、投資信託を1年ほどやっている者ですが、
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とeMAXIS プラス コモディティインデックスの2本を保有中してます。
今年の4月から東証が3つに再編されますが、それに伴いTOPIXが選抜形式になり、指数の質が上がると言われていますが、実際のところどうなのでしょうか?
もしそうでしたら、今年からeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)を始めようと考えています!
浦上さんの意見をお願い致します
H.Hさん、はじめまして^^
ご質問の件、結論から言うと、私はあまり気にしていません。
というのは、TOPIXから選抜した指数はTOPIX100とかJPX400などが既にあり、
成績はTOPIX自体とあまり変わらないからです(ググってチャートを比べれば分かると思います)。
また逆に、TOPIXから外される銘柄の中には暴落するものも出てくるでしょう。
それを狙って空売りを仕掛ける投資家もいるはずで、変な下げがあるかもとは思ってます。
ただ、私はインデックス投資を基本にしているので、そのくらいの下落は気にせずほっておきます^^
もし分散投資を進めるきっかけくらいのつもりでしたらTOPIXを始めるのも賛成です。